スペイン風邪の時代とは 100年前の「英vs独」と酷似する「米vs中」の構図=板谷敏彦
エコノミスト Online 2020年5月18日
今からおよそ100年前の1914~18年、第一次世界大戦が戦われた。この時の戦死者は諸説あるものの、軍民合わせて1650万人とされている。当時の地球人口は約18億人だったので、これだけでも約1%だ。
ところが、この戦争の終盤である18年から21年にかけて、これをはるかに上回る3000万人から5000万人の死者を出すインフルエンザが流行した。これが、いわゆる 「スペイン風邪」である。
世界人口の50%が罹患(りかん)し25%が発症したと考えられており、日本でも当時の人口の約半数である2380万人が罹患し約45万人が亡くなったと推計されている。ちなみに第一次世界大戦での日本の戦死者は415人だった。

さて、スペイン風邪は新型コロナウイルスと戦う現代の我々に何を教訓として残したのだろうか。
 感染症の歴史としては、流行は第1波では済まず何波も続いて長期化する可能性があること、ウイルスは突然変異があり凶暴化する可能性があること、犠牲者は必ずしも高齢者や幼児とは限らないこと、などであろうか。

コロナは世界大恐慌の引き金にならないのか。この2~3年はコロナが収束しないであろうことが予想され、世界経済の見通しも非常に厳しいものとなろう。日本でも、観光・航空業界を例に挙げれば、ANAの2021年3月期の業績予想が5100憶円の赤字となることが明らかになっている。