次のチャートは、世界、アジア、インド、日本の新規感染者数/日/100万人(7日間移動平均)である。この4つのチャートから分かることがいくつかある。その一つは、感染の波のピークの大きさは多少異なるが、そのピークがほぼ同じ時期に形成されていることである。すなわち、感染の増減は、世界の国々の政府が行う対策やワクチン接種率とほとんど関係ない要因で起こっているのである。

ここで注目すべきチャートはインドである。インドは5月8日にピークアウトして、以来減少傾向が続いている。インドの減少の要因がワクチンでないことは明らかだ。また、この波を形成した変異株がデルタ株であった。インドで再び感染拡大が始まっていないのは、新たな変異株が出現していないことによるものではないか。

このサイトでは度々、感染の増減の要因を「自然の摂理」と捉えて主張してきた。インドでは累計感染者数が3300万人を超え、自然の摂理でいう「感染余地のある者と地域」がほぼなくなったとも考えられる。ただ、英国などでいまだに感染拡大が続いていることを自然の摂理で説明することはできない。それにしても、インドの感染者減少も日本の第5波の感染者減少も謎である。

専門家の多くが日本の第5波の減少要因について明確に答えられないのが現状だ。減少要因が分からない以上、第6波がきたときどういう対策を取ればよいのか、政府としても悩ましいところである。楽観的には、新たな変異種が出現しなければ、しばらくは再び感染拡大が始まらないのではないかと思いたい。緊急事態宣言が解除されても、マスク着用はあと数年は続けなければならないだろう。